白くて赤い皮膚に若き母が「道化師のよう…」と絶句。難病「道化師様魚鱗癬」の息子と向き合った母の覚悟
難病を持つ我が子を愛する苦悩と歓び(15)
◆記憶と記録「この人が夫でよかった」
写真について、夫と話し合った。
今の陽の姿を私たちの記憶の中だけでなく、ちゃんと写真として記録に残そう。
夫の両親は、まだ一度も孫の姿を見ていない、かといって撮った写真を見せるわけではない。
今はまだ、見せる時じゃない。
そんな話もしながら、ふたり揃って陽の所に行ける時、写真を撮ろうと決めた。
そして、その日はすぐにやってきた。
陽が産まれて2週間経った日、カメラを握りしめて、陽のもとへ・・・。
寸前になって、この姿を撮っていいものか。
そう迷ってしまう私をよそに
「反射して光が入ってしまうわ〜」と言って、
四苦八苦しながら撮影する夫。
そしてなにかを察したのか、
「僕は陽が愛しいで」
「どんな姿でも、陽が可愛い」
「もう見慣れたんかなぁ〜」
陽に優しい笑みを浮かべながら話す夫。
あぁ、この人が夫でよかった。
この人が陽の父親でよかった。
この人となら、なんとかなるのかな。
そう思っていると、近くにいる看護師さんが写真を撮っていることに気付き、
光が入らないよう協力してくれて、無事に何枚か写真を撮ることができた。
この日から面会時には必ず、陽の姿をカメラに収めるようになった。
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KEYWORDS:
産まれてすぐピエロと呼ばれた息子
ピエロの母
本書で届けるのは「道化師様魚鱗癬(どうけしようぎょりんせん)」という、
50~100万人に1人の難病に立ち向かう、
親と子のありえないような本当の話です。
「少しでも多くの方に、この難病を知っていただきたい」
このような気持ちから母親は、
息子の陽(よう)君が生後6カ月の頃から慣れないブログを始め、
彼が2歳になった今、ブログの内容を一冊にまとめました。
陽君を実際に担当した主治医の証言や、
皮膚科の専門医による「魚鱗癬」についての解説も収録されています。
また出版にあたって、推薦文を乙武洋匡氏など、
障害を持つ方の著名人に執筆してもらいました。
障害の子供を持つ多くのご両親を励ます愛情の詰まった1冊です。
涙を誘う文体が感動を誘います。
ぜひ読んでください。